9月18日、新華社の英語版クライアントは、全世界のメディアユーザーに特集記事「Low-carbon demo projects illuminate green future amid China-EU climate cooperation」(中国・ヨーロッパ気候変動対策における協力で、低炭素モデルプロジェクトがグリーンの未来を照らす」)を配信し、自由貿易試験区青島エリアがグリーン建築技術分野で、中国・ヨーロッパグリーン発展協力モデルを構築する取り組みの重要な成果を重点的に報道した。これまで、300社以上の国内外のメディアでこの内容が掲載されている。
記事詳細:

2025年7月29日にドローンで撮影された中国東部山東省青島市の青島中独エコパーク(新華社/リー・ズーハン)
9月18日、青島(新華社発)-- 中国東部山東省の沿岸都市・青島の夏は、海水の蒸発により湿度が高く、しばしば蒸し暑くなる。
しかし、青島中独エコパークにあるチャン・ジエ氏のアパートには、エアコン一台も見当たらない。
エアコンも暖房ラジエーターもないアパートには、代わりに換気システムが設置され、断熱材が使用されている。各部屋には温度・湿度・PM2.5濃度などの環境指標を表示するモニターが備え付けられている。
中国初の国家級超低エネルギー消費建築物の一つとして認定されたこのアパートは、117万平方メートルに及ぶ園内のパッシブハウス群(住宅・学校・オフィスビルを含む)の一部を構成している。
パッシブハウスはドイツで開発された建築概念で、建築物のエネルギー効率に適用される厳格な基準を指す。高性能断熱材、高気密外装、熱回収システム、太陽光発電を組み合わせることで、住宅の人工的な冷暖房依存度を低減する。
このエコパークのパッシブハウスは、年間2万6800トンのCO2排出量を削減できる。同エコパークは、パッシブハウスに限らず、気候目標の促進において優れた実績を示しており、中国と欧州連合(EU)の間の気候変動対策における協力を深める証となっている。
こうした協力は今年7月、中国とEU首脳が気候変動対策に関する共同声明を発表したことで頂点に達した。声明では、「気候変動対策をめぐる協力を強化することは、双方の国民の福祉に関わり、多国間主義の維持と世界の気候ガバナンスの推進にとって特別に重要な意義がある」との認識が示された。
2010年に中国とドイツが調印された青島中独エコパークプロジェクトは、2011年に着工し、その後、3,000以上の国内外企業に加え教育・娯楽施設を擁する複合施設へと発展した。
特に注目すべきなのは、2013年にパッシブ超低エネルギー消費建築技術の研究を開始し、翌年には同技術に関する初の実証プロジェクト協定が両国間で調印されたことである。この合意を契機にパッシブハウス技術センターが設立されている。

2025年7月29日にドローンで撮影された中国東部山東省青島にある青島中独エコパークのパッシブハウス技術センター(新華社/リー・ズーハン)
同センターは、特徴的な白い外観を持つ洗練された建物で、高性能外装構造・換気熱回収システム・地中熱ヒートポンプ・太陽光発電設備を備えている。一次エネルギー消費量で年間130万kWhの節約を実現し、炭素排出量を664トン削減し、年間運営コストも70万元(約9万8554米ドル)削減している。
チャン氏にとって、パッシブハウスのアパートに住むことは、快適性だけではなく、経済的にも有利。「換気システム全体の電気代は年間約3500元で、従来一冬分の暖房費とほぼ同じです」とチャン氏は説明した。
中独生態園被動房建築技術有限公司(Sino-German Ecopark Passive House Building Technology Co., Ltd.)の副経理ハン・フェイ氏は、「広大な暖房地域が存在する中国北部では、ドイツのパッシブハウス技術は適応性が高く、非常に適しています。
さまざまな公共建築や住宅建築を含む中国の広大な不動産市場が、この技術の適用に大きな機会を提供しています」とハン氏は、指摘した。さらに、断熱材・ドア・窓・換気システムを手掛ける中国の多くの大手メーカーが、ビジネスの可能性を認識し、このような技術の導入を進めている。
持続可能性への取り組みにより、このエコパークはドイツ企業の拠点となっている。現在、エコパーク内にはドイツ語圏の企業約65社が事業を展開してる。
欧科林格工程塑料(青島)有限公司(ElringKlinger Plastics Technology (Qingdao) Co., Ltd.)の運営部長ワン・ヤオウェン氏は、エコパークが提供するエネルギー効率の高い工場施設を高く評価し、「これらの工場では様々な先端低炭素技術を使用しています。
これは、当社のようなドイツ系企業が炭素削減目標を達成する上で強力な支援を提供し、持続可能な開発への我々の核心的な取り組みと合致するとともに、中国市場での事業展開を深める自信をさらに強化しています」とワン氏は述べた。
2024年、青島中独エコパークは対外貿易額が158億元、実際に利用された外国資本が7100万米ドル、固定資産投資額が234億2000万元を達成し、前年同期比17.4%増加した。また、低炭素工業パークは外資企業だけでなく、中国企業も誘致していることが注目に値する。
「過去には、潜在的な入居企業は、主に土地の利用可能性と税制政策についての質問が多かったです。しかし現在では、企業が工業パークの炭素排出量とグリーン電力の使用割合をますます重視するようになっています」と、北京に本部を置くグローバル脱炭素化進捗研究所(iGDP)が開催したセミナーで、中国国家気候変動戦略・国際協力センターのチャイ・チーミン氏は指摘した。
これに伴い、ゼロカーボン工業パークの育成が低炭素開発の重要目標として認識されている。中国の中央経済工作会議は昨年、一連のゼロカーボン工業パークの整備を含む全分野でのグリーン転換の推進を強化するよう求めた。
中国とドイツの気候変動対策における協力は青島にとどまらない。2022年、共同作業の一環として、中国北部の天津市に別のパッシブハウス実証センターが設立された。さらに2024年、中国北部の河北省では、224万平方メートル超のパッシブ超低エネルギー消費建築の建設が始まっている。
一方、中国南部の海南省博鰲鎮は2024年3月、ドイツのエネルギー機関によって認定されたゼロカーボンモデル区を開設した。
「このモデル区は盆栽のように観賞用ではなく、持続可能で複製可能、拡張可能なベストプラクティスを推進することを目的としています」と、博鰲鎮のモデル区の開発に参画した企業の一つである瓊海市城市投資建設有限公司(Qionghai municipal investment and construction company)のマネージャーのリャン・カイジュン氏は述べた。
